現在(げんざい)行なわれ(おこなわれ)ている無痛(むつう)分娩(ぶんべん)は、多く(おおく)が硬膜(こうまく)外(がい)麻酔法(ますいほう)です。「麻酔(ますい)」は無痛(むつう)分娩(ぶんべん)のような出産(しゅっさん)の場面(ばめん)に限ら(かぎら)ず、その他(そのほか)の手術(しゅじゅつ)や歯(は)の治療(ちりょう)などにも使わ(つかわ)れています。麻酔(ますい)を受け(うけ)た人(ひと)で、その後(そのご)に吐き気(はきけ)をもよおした経験(けいけん)のある人(あるひと)もいるのではないでしょうか。麻酔薬(ますいやく)と吐き気(はきけ)はどのように関係(かんけい)しているのでしょうか。無痛(むつう)分娩(ぶんべん)に用いる(もちいる)硬膜(こうまく)外(がい)麻酔法(ますいほう)では、麻酔法(ますいほう)を開始(かいし)して30分(30ぷん)以内(いない)の早い(はやい)時期(じき)は血圧(けつあつ)が変動(へんどう)しやすく、この時期(じき)に血圧(けつあつ)が低下(ていか)すると吐き気(はきけ)が起こり(おこり)やすいと言え(といえ)ます。このとき、首(くび)の後ろ(うしろ)にある脳(のう)の一部分(いちぶぶん)の酸素(さんそ)濃度(のうど)が低下(ていか)すると、吐き気(はきけ)の症状(しょうじょう)が助長(じょちょう)されます。逆(ぎゃく)に言う(いう)と、多少(たしょう)血圧(けつあつ)が下がっ(さがっ)ても、酸素(さんそ)が上手(じょうず)に脳(のう)まで届い(とどい)ている場合(ばあい)は、吐き気(はきけ)が起こる(おこる)ことは少ない(すくない)といえます。しかし単純(たんじゅん)に、薬(くすり)の量(りょう)が少ない(すくない)ほど吐き気(はきけ)の症状(しょうじょう)が少ない(すくない)というわけではないようです。薬(くすり)による鎮痛(ちんつう)効果(こうか)が十分(じゅうぶん)でないときに子宮(しきゅう)収縮(しゅうしゅく)がおきると、それが誘発(ゆうはつ)となって吐き気(はきけ)を引き起こし(ひきおこし)たり、分娩(ぶんべん)にネガティブなイメージを持っ(もっ)ていて不安(ふあん)が強い(つよい)産婦(さんぷ)さんでは、分娩(ぶんべん)すること自体(じたい)が原因(げんいん)となって吐き気(はきけ)を催す(もよおす)こともあるからです。また、分娩中(ぶんべんちゅう)の水分(すいぶん)摂取(せっしゅ)が足り(たり)ない場合(ばあい)や低血糖(ていけっとう)状態(じょうたい)も吐き気(はきけ)を助長(じょちょう)します。子宮(しきゅう)の下部(かぶ)が伸ばさ(のばさ)れると反射(はんしゃ)によって嘔吐(おうと)が起こり(おこり)やすい、とも言わ(ともいわ)れています。このように自然(しぜん)分娩(ぶんべん)の場合(ばあい)でも、陣痛(じんつう)のために時々(ときどき)吐き気(はきけ)が起こる(おこる)ことがあるのです。つまり、分娩時(ぶんべんじ)の吐き気(はきけ)は麻酔薬(ますいやく)の副作用(ふくさよう)によるものなのか、それ以外(いがい)なのかは識別(しきべつ)するのが難しい(むずかしい)のです。仮に(かりに)麻酔薬(ますいやく)が原因(げんいん)の場合(ばあい)も、一度(いちど)吐い(はい)てしまうとらくになります。そして分娩後(ぶんべんご)それほど長く(ながく)続き(つづき)ませんので、その後(そのご)の育児(いくじ)に影響(えいきょう)が及ぶ(およぶ)心配(しんぱい)もないといえるでしょう。
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